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キャンピングカーの減価償却と経費計上

キャンピングカーの減価償却と経費計上

更新 2026-10-21制度・根拠の確認 2026-10-21

この記事の目次
  1. この記事の要点
  2. 減価償却のしくみと取得価額
  3. 耐用年数の区分
  4. 定額法と定率法
  5. 計算例: 新車を定額法と定率法で比べる
  6. 中古のキャンピングカーの耐用年数(簡便法)
  7. 備品・装備の経費の入れ方(少額の資産)
  8. 開業費・修繕費と資本的支出
  9. 経費にできるもの・できないもの
  10. よくある質問
  11. 関連する記事
  12. 根拠

レンタル用のキャンピングカーは、事業でいちばん大きな買い物です。買ったお金は、その年に全額を経費にするのではなく、減価償却で何年かに分けて経費にします。この記事は、これから開業する方に向けて、キャンピングカーの耐用年数の区分、定額法と定率法の選び方、中古車の扱い、備品・開業費・修理の費用の経費の入れ方を、耐用年数省令と国税庁の資料をもとにまとめます。個別の扱いは税務署・税理士に確認してください。

この記事の要点

  • レンタカー(貸自動車業用)の自動車の耐用年数は、総排気量 2L 以下 3 年、3L 以上の大型乗用車 5 年、その他 4 年です。一般の普通乗用車の 6 年は使いません。
  • キャンピングカーが「特殊車体を架装した特殊自動車」(2L 以下 3 年・その他 4 年)と「貸自動車業用」のどちらに当たるかは、国税庁の資料に直接の記述がありません。3L 以上のベース車では 5 年か 4 年かで結論が変わるので、税理士・税務署に確認します。
  • 個人は届け出なければ定額法です。定率法にすると初めの年の経費が大きくなります。定率法にするなら、開業の翌年 3 月 15 日までに届け出ます。
  • 中古車は簡便法で耐用年数を短くでき、短いと 2 年になります。見積もりは使い始めた年にしかできません。
  • 備品は、10万円未満なら使い始めた年の経費です。青色申告者は、令和8年4月1日以後に取得した 40万円未満の資産を年 300万円まで、使い始めた年の経費にできる特例があります。

減価償却のしくみと取得価額

減価償却は、何年も使う資産の購入代金を、法令で決められた年数(耐用年数)に分けて毎年の経費にする仕組みです。現金は買った時に出ていきますが、経費は数年に分かれます。帳簿の利益と手元の現金がずれる理由は、1台から始めるレンタル事業の収支シミュレーションで計算例とともに説明しています。この記事では、税の上での計算のしかたを扱います。

償却の元になる取得価額には、車両の本体価格のほか、引取りの運賃・購入の手数料と、事業に使うために直接かかった費用が入ります。車に常に載せておく機器(ラジオ・メーター・無線機・クーラー・工具・スペアタイヤなど)は、車両と分けずに、車両と同じ耐用年数で償却します。

取得価額を税込で計算するか税抜で計算するかは、経理の方式で決まります。消費税の免税事業者は税込で計算します。課税事業者が税抜で経理する場合は税抜の金額です。消費税の判定はレンタカー事業の消費税・インボイス制度で扱います。

平成19年4月1日以後に取得した資産は、最後に帳簿の価額を 1 円残すところまで償却します。

耐用年数の区分

自動車の耐用年数は、耐用年数省令の別表第一「車両及び運搬具」で、使い方と車の種類によって分かれています。キャンピングカーのレンタルで関係する区分は次のとおりです。

区分 車の種類 耐用年数
運送事業用・貸自動車業用・自動車教習所用 小型車(総排気量 2L 以下) 3 年
同上 大型乗用車(総排気量 3L 以上) 5 年
同上 その他 4 年
特殊自動車のうち、特殊車体を架装したもの(タンク車・霊きゅう車・トラックミキサーなど) 小型車(総排気量 2L 以下) 3 年
同上 その他 4 年
前掲のもの以外(一般の用途) 普通乗用車などその他 6 年
同上 小型車(総排気量 0.66L 以下) 4 年

国税庁の取扱通達は、「貸自動車業用」を、不特定多数の人に一時的に自動車を貸すことを業とする人が使う自動車、つまりいわゆるレンタカーとしています。レンタル用のキャンピングカーは、少なくとも一般の用途の 6 年ではなく、短い区分に入ります。

判断が分かれるのは、キャンピングカー(8 ナンバーの特種用途自動車など)を「特殊車体を架装したもの」と見るか、「貸自動車業用」と見るかです。国税庁の通達・質疑応答には、この点を直接書いたものが見つかりません。ベース車の排気量で整理すると次のようになります。

ベース車の総排気量 貸自動車業用なら 特殊車体の架装なら 結論が変わるか
2L 以下 3 年 3 年 変わらない
2L 超 3L 未満 4 年 4 年 変わらない
3L 以上 5 年(大型乗用車に当たる場合) 4 年 変わる

2L 超 3L 未満のベース車なら、どちらの区分でも 4 年です。3L 以上のベース車では 5 年か 4 年かで毎年の経費が変わるので、車を買う前に税理士・税務署に確認し、決めた年数を固定資産台帳に書いておきます。

定額法と定率法

減価償却の方法には、毎年同じ額を経費にする定額法と、初めの年ほど多く経費にする定率法があります。

  • 個人は、届け出なければ法定の方法である定額法です。
  • 定率法にするなら、業務を始めた年の翌年 3 月 15 日までに「減価償却資産の償却方法の届出書」を税務署へ出します。
  • 後から方法を変えるには、変えたい年の 3 月 15 日までに申請し、承認を受ける必要があります。

耐用年数ごとの償却率は、耐用年数省令の別表で決まっています。

耐用年数 定額法の償却率 定率法の償却率 定率法の改定償却率 定率法の保証率
3 年 0.334 0.667 1.000 0.11089
4 年 0.250 0.500 1.000 0.12499
5 年 0.200 0.400 0.500 0.10800
6 年 0.167 0.333 0.334 0.09911

定率法は、前の年の末の帳簿の価額に償却率を掛けます。計算した額が「取得価額 × 保証率」(償却保証額)を下回った年からは、その年の初めの帳簿の価額に改定償却率を掛けた額に切り替えます。

年の途中で使い始めた場合

年の途中で事業に使い始めた資産は、1 年分の償却費を 12 で割り、その年に使った月数を掛けます。たとえば 7 月に使い始めたら、その年は 6 か月分です。レンタル事業は、許可・登録・保険の切替が済むまで貸し出せないので、車を買った月と使い始めた月がずれることがあります。

計算例: 新車を定額法と定率法で比べる

架空の前提で、1 台目の新車を償却した場合を比べます。

前提(架空) 値
取得価額 600万円(免税事業者として税込で計算)
耐用年数 4 年(貸自動車業用の「その他」に当たると仮定)
使い始めた月 1 年目の 7 月(1 年目は 6 か月分)
定額法 償却率 0.250 → 1 年分 150万円
定率法 償却率 0.500、改定償却率 1.000、償却保証額 600万円 × 0.12499 = 約 75万円
年 定額法の償却費 定率法の償却費 定率法の計算
1 年目 75万円 150万円 600万円 × 0.500 × 6/12
2 年目 150万円 225万円 (600 − 150)万円 × 0.500
3 年目 150万円 112.5万円 (450 − 225)万円 × 0.500
4 年目 150万円 112.5万円 − 1 円 112.5万円 × 0.500 = 56.25万円 が償却保証額を下回るので、112.5万円 × 1.000 に切り替え。1 円を残す
5 年目 75万円 − 1 円 0 円 償却済み
合計 600万円 − 1 円 600万円 − 1 円

どちらの方法でも、経費の合計は同じです。違うのはどの年に経費が多く出るかです。

  • 定率法は、開業して売上が安定しない初めの 2 年に経費が多く出ます。所得税は累進課税なので、利益が大きい年に経費を多く入れられると有利なことがあります。
  • 定額法は、毎年の利益が読みやすく、融資の審査で見られる決算の利益が初めの年に小さくなりすぎません。
  • 初めの年が赤字なら、青色申告であれば赤字(純損失)を 3 年間繰り越せます。白色申告では、原則として繰越しができません(災害の損失などを除く)。

どちらが有利かは、売上の見込み、ほかの所得、融資の予定で変わります。届出の期限(翌年 3 月 15 日)の前に、収支の見込みと合わせて税理士に相談しておくと安全です。

中古のキャンピングカーの耐用年数(簡便法)

中古の資産は、残りの使える期間を見積もって耐用年数にします。見積もりが難しいときは、次の簡便法で計算できます。

  • 法定の耐用年数を全部過ぎた資産: 法定の耐用年数 × 20%
  • 法定の耐用年数の一部を過ぎた資産: (法定の耐用年数 − 過ぎた年数)+ 過ぎた年数 × 20%
  • 1 年未満の端数は切り捨て、計算した年数が 2 年未満なら 2 年

架空の例で計算します。法定の耐用年数は 4 年と仮定します。

中古車の状態(架空) 計算 耐用年数
初度登録から 5 年たった車 4 年 × 20% = 0.8 年 → 2 年未満 2 年
初度登録から 2 年たった車 (4 − 2)+ 2 × 20% = 2.4 年 → 端数切り捨て 2 年
初度登録から 1 年たった車 (4 − 1)+ 1 × 20% = 3.2 年 → 端数切り捨て 3 年

注意する点は 2 つです。

  • 見積もりは、事業に使い始めた年にしかできません。その年に法定の耐用年数で計算してしまうと、後から簡便法に直すことはできません。
  • 中古車を事業に使い始めるために支出した改造などの資本的支出が、その車の取得価額の 50% を超える場合は、簡便法を使えません(再取得価額〈同じ新品の価額〉の 50% を超えるときは法定の耐用年数)。使い始めた後の改造は、資本的支出か修繕費かを後の節の考え方で分けます。

中古車は耐用年数が短いぶん、毎年の経費が大きくなります。そのかわり、売る時には帳簿の価額が小さくなっていて、売った代金との差が利益になりやすくなります。買い替えの時期も含めて計画します。

備品・装備の経費の入れ方(少額の資産)

寝具・テーブル・チェア・調理器具・ポータブル電源など、車と別に買う備品は、取得価額によって扱いが変わります。

1 点の取得価額 扱い
10万円未満(または使える期間が 1 年未満) 業務に使い始めた年に全額を経費
10万円以上 20万円未満 一括償却資産として、3 年で 3 分の 1 ずつ経費にすることも選べる
10万円以上 40万円未満(青色申告者の特例) 一定の要件を満たす青色申告者は、年の合計 300万円まで、業務に使い始めた年に全額を経費にできる。令和8年3月31日までの取得は 30万円未満が対象。特例は令和11年3月31日までの取得分
上記を超えるもの 通常の減価償却

注意点です。

  • 40万円未満への引き上げは、令和8年度の税制改正によるもので、令和8年4月1日以後に取得した資産が対象です。最新の条件は国税庁の案内で確認してください。
  • 令和4年4月1日以後に取得して貸付けに使う資産は、主要な業務として行う貸付けに使うものを除き、10万円未満・一括償却・少額の特例のどれも使えません。レンタル事業として利用者に貸し出す備品がどちらに当たるかは、税務署・税理士に確認してください。
  • 10万円・20万円・40万円の判定は、経理の方式に合わせます。免税事業者は税込の金額で判定します。
  • 車に常に載せておく機器は、備品ではなく車両の一部として車両と同じ年数で償却します。

開業費・修繕費と資本的支出

開業費

開業の準備のために払った費用(開業前の広告・調査・打ち合わせの交通費など)は、開業費(繰延資産)として扱えます。開業費は、60 か月で均等に経費にするか、任意の年に好きな額を経費にする(任意償却)かを選べます。任意償却なら、赤字の年は経費にせず、黒字になった年にまとめて経費にすることもできます。何を開業費にしたかは、領収書と一覧で分かるようにしておきます。

修繕費と資本的支出

車の修理や改造に払った費用は、内容によって、その年の経費(修繕費)になるか、資産の価額に加えて償却するもの(資本的支出)になるかが分かれます。判定は名目ではなく実質で行います。

  • 修繕費: 壊れた所を元に戻す、性能を維持するための費用
  • 資本的支出: 使える期間を延ばす、価値を高めるための費用

国税庁が法人向けに示している目安は次のとおりです。個人の業務用の資産も、同じ考え方の目安として使われています。

  1. 1 回の修理などの費用が 20万円未満、またはおおむね 3 年以内の周期で行うものは、修繕費にできる
  2. 修繕費か資本的支出か分からない場合、60万円未満、または前の年の末の取得価額のおおむね 10% 以下なら、修繕費にできる

キャンピングカーで考えると、利用者が壊した内装や網戸を元に戻す修理は修繕費の考え方に近く、後から設備を新しく増やして価値を高める改造は資本的支出の考え方に近くなります。金額が大きい改造の前に、税理士に扱いを確認しておきます。

経費にできるもの・できないもの

必要経費になるのは、その年に支払う義務が確定した、事業に必要な費用です。レンタル事業での主な例を整理します。

経費になるもの(例) 経費にならないもの(例)
車両・備品の減価償却費 借入の元金の返済
任意保険・自賠責の保険料、自動車税など事業の車の税 所得税・住民税
車検・点検・修理(修繕費)、清掃・洗車・消耗品 罰金・科料・過料など罰則としての支払い
車庫・事務所の賃料 生計を一にする親族に払う地代家賃
予約サイト・決済の手数料、広告費、通信費 私用の部分(家事関連費のうち業務と区分できない部分)
借入の利息、事業税、開業費の償却

自家用と兼用する車や、自宅の一部を事務所・車庫にする場合は、業務に使った部分を明らかに区分できる分だけが経費です。走行距離や使った日数の記録で割合を説明できるようにしておきます。経費になるのは、支払った年ではなく、支払う義務が確定した年です。たとえば年内に修理が終わって金額も決まっていれば、支払いが翌年でもその年の経費になります。

よくある質問

キャンピングカーの耐用年数は 6 年ではないのですか?

6 年は一般の用途の普通乗用車の年数です。レンタカーとして使う自動車は貸自動車業用の区分になり、総排気量で 3 年・4 年・5 年に分かれます。特殊車体を架装した特殊自動車と見る場合も 3 年か 4 年です。どちらの区分になるかは、税理士・税務署に確認してください。

定率法と定額法、どちらを選べばよいですか?

経費の合計は同じで、違うのは経費が多く出る年です。初めの年に利益が出る見込みなら定率法、利益を毎年そろえたい・融資の審査で決算の利益を見せたいなら定額法、という考え方があります。定率法にするなら、開業の翌年 3 月 15 日までに届出が要ります。

中古で買った車を、去年は法定の年数で償却していました。今年から簡便法にできますか?

できません。中古の耐用年数の見積もりは、事業に使い始めた年に行うもので、その年にしなかった場合は後から見積もることはできません。中古車を買った年の申告の前に、簡便法を使うか決めておきます。

30万円のポータブル電源は、買った年の経費にできますか?

令和8年4月1日以後に取得したもので、一定の要件を満たす青色申告者なら、40万円未満の特例で使い始めた年の経費にできる可能性があります。ただし、利用者に貸し出す備品は、貸付けに使う資産の除外に当たるかの確認が要ります。車に常に載せておく機器なら、車両と一緒に償却します。

車を売ったときはどうなりますか?

売った時点の帳簿の価額と売った代金の差が、利益または損失になります。耐用年数が短い区分や中古の簡便法では、帳簿の価額が早く小さくなるので、利益が出やすくなります。所得の区分と計算は、税理士・税務署に確認してください。消費税の課税事業者なら、売った代金にも消費税がかかります。

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根拠

この記事は一般的な情報です。法令・保険・税の扱いは変わることがあり、地域や個別の事情によっても異なります。手続きの前に、管轄の運輸支局・税務署・保険会社・専門家にご確認ください。

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