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1台から始めるレンタル事業の収支シミュレーション

1台から始めるレンタル事業の収支シミュレーション

更新 2026-10-21制度・根拠の確認 2026-10-21

この記事の目次
  1. この記事の要点
  2. 収支の基本の式
  3. 架空の前提
  4. 月次の収支(中のパターン)
  5. 稼働率 3 パターンの年間の収支
  6. 感度: 何が変わると結果が大きく動くか
  7. 減価償却と耐用年数の考え方
  8. 消費税と税の扱い
  9. 自分で計算する手順(表の作り方)
  10. camperGo でできること
  11. よくある質問
  12. 関連する記事
  13. 根拠

キャンピングカー 1 台でレンタル事業を始めたら、毎月いくら残るのでしょうか。この記事は、これから開業する方に向けて、架空の前提を表で示したうえで、月次・年間の収支、稼働率の 3 パターン、料金や修理で結果がどう変わるか、帳簿の利益と手元の現金の違いを計算します。最後に、自分の数字で同じ表を作る手順をまとめます。

この記事の要点

  • 収支は「1 日の料金 × 貸した日数 − 変動費 − 固定費」で決まります。1 台の事業では、損益分岐点を「月に何日貸せばよいか」に直すと、自分で判断しやすくなります。
  • キャンピングカーのレンタルの稼働率・料金の公的な統計はありません。この記事の数字はすべて架空の前提で、計算の手順を示すためのものです。
  • 帳簿の利益には車両の減価償却が入り、手元の現金には借入の元金の返済が入ります。利益が赤字でも現金は増える年、利益が黒字でも現金が足りない年があります。
  • 結果を大きく動かすのは、料金・稼働の日数・事故による休車です。固定費を下げると損益分岐点は大きく下がります。
  • 車両の耐用年数は、レンタカーの区分の扱いで変わります。この記事は例として 4 年で計算しています。実際の年数と税の扱いは税理士・税務署に確認してください。

収支の基本の式

レンタル事業の 1 か月の収支は、次の 3 つに分けて考えます。

  • 売上 = 1 日の料金 × 貸した日数(補償・オプションの料金を含める場合は、その平均も足す)
  • 変動費 = 貸すたびにかかる費用。予約の経路の手数料、カードの決済手数料、清掃・リネン・消耗品、走ることによるタイヤ・オイルなどの減り
  • 固定費 = 貸しても貸さなくてもかかる費用。保険料、税、車検と点検、車庫、Web・通信、借入の利息、減価償却

売上から変動費を引いたものを「限界利益」と呼び、固定費を払うための利益になります。損益分岐点(利益がゼロになる売上)は、固定費 ÷(1 − 変動費率)で求められます。1 台の事業では、月の固定費を「1 日あたりの限界利益」で割ると、月に何日貸せば赤字にならないかが出ます。

損益分岐の日数 = 月の固定費 ÷(1 日の料金 − 1 日あたりの変動費)

架空の前提

ここからの計算は、すべて次の架空の前提です。相場を示すものではないので、ご自身の見積もりに置き換えてください。

項目 架空の前提 補足
車両 600万円 開業資金の記事の 1 台の例と同じ(登録の諸費用・装備と備品は含めない)
資金 自己資金で残りを払い、500万円を借りる 10 年・元金均等で返済
1 日の料金 20,000円 補償・オプション込みの平均
1 回の貸出の日数 平均 3 日 清掃の費用を日割りするのに使う
予約の経路・決済の手数料 売上の 10% 予約サイト・自社サイト・決済サービスの手数料を平均した値
清掃・リネン・消耗品 1 回 6,000円(1 日あたり 2,000円) 外に頼むか自分でやるかで変わる
タイヤ・オイルなどの減り 1 日 1,000円 燃料は借りる人の負担とする
消費税 考えない(免税事業者で、税込の金額のまま計算) 課税事業者になる場合は後の節を参照

1 日あたりの変動費は、手数料 2,000円+清掃 2,000円+減り 1,000円 = 5,000円で、1 日の限界利益は 15,000円です。

固定費(年額)は次のとおりです。

固定費 年額 月額 補足
任意保険 24万円 2万円 架空。許可の基準の水準以上で見積もる
自動車税(種別割) 3.48万円 0.29万円 例: 東京都の自家用キャンピング車の税率表で、2019年10月1日以後に新車新規登録した 2.0L 超 2.5L 以下の車は年 34,800円
車検・点検の積立 24万円 2万円 架空。自賠責・重量税・整備を含む
車庫 24万円 2万円 架空
Web・通信・事務 24万円 2万円 架空
支払利息 10万円 0.83万円 架空の利率で 1 年目を概算
現金で出ていく固定費 計 109.48万円 約 9.12万円
減価償却 150万円 12.5万円 例として 4 年・定額法(償却率 0.250)で償却
帳簿の固定費 計 259.48万円 約 21.62万円

借入の元金の返済は、年 50万円(月 約 4.17万円)です。元金の返済は経費ではなく、利益から払います。公庫の創業計画書の記入例も、利益の欄に「借入金の返済元金はここから支払われます」と注記しています。

月次の収支(中のパターン)

月に 12 日貸した場合(稼働率 40%。30 日の月で計算)の 1 か月は、次のようになります。

項目 金額
売上(20,000円 × 12 日) 24万円
変動費(5,000円 × 12 日) −6万円
限界利益 18万円
現金で出ていく固定費 −9.12万円
減価償却 −12.5万円
帳簿の利益 −3.62万円
元金の返済 −4.17万円
手元の現金の増減(限界利益 − 現金の固定費 − 元金の返済) +4.71万円

帳簿の上では毎月 3.6万円の赤字ですが、手元の現金は毎月 4.7万円増えます。減価償却は現金が出ていかない費用で、車を買った時のお金を 4 年に分けて費用にしているためです。いっぽうで、元金の返済は帳簿の費用にはなりませんが、現金は出ていきます。

なお、この現金の増減には、事業主の生活費が入っていません。個人で開業する場合、公庫の創業計画書の「人件費」の欄にも事業主の分は含めません。事業主の生活費と所得税などの税は、この残りから払います。

稼働率 3 パターンの年間の収支

貸した日数だけを変えて、1 年の収支を比べます(稼働率は 30 日の月で計算)。

項目 低(月 6 日・20%) 中(月 12 日・40%) 高(月 18 日・60%)
年に貸した日数 72 日 144 日 216 日
売上 144万円 288万円 432万円
変動費 36万円 72万円 108万円
限界利益 108万円 216万円 324万円
現金の固定費 109.48万円 109.48万円 109.48万円
減価償却 150万円 150万円 150万円
帳簿の利益 −151.48万円 −43.48万円 +64.52万円
元金の返済 50万円 50万円 50万円
手元の現金の増減 −51.48万円 +56.52万円 +164.52万円

損益分岐の日数は、この前提では次のとおりです。

  • 帳簿の損益分岐: 259.48万円 ÷ 15,000円 ≒ 年 173 日(月 約 14.4 日。365 日に対して約 47%)
  • 現金の分岐(元金の返済まで払える日数): (109.48万円 + 50万円)÷ 15,000円 ≒ 106.3 日、切り上げて 年 107 日(月 約 8.9 日。365 日に対して約 29%)

低のパターンでは、帳簿も現金も赤字で、手元の現金が年に 50万円ほど減ります。開業資金の運転資金で埋めることになるので、開業から半年程度の赤字を埋めるお金を用意しておく理由がここにあります(公庫のセルフチェックリストも「半年程度の赤字補てん資金」を確認の項目に挙げています)。

また、レンタルの需要は季節や曜日で偏ります。月平均で 12 日でも、繁忙期は満車で予約を断り、閑散期はほとんど貸せない、ということが起こります。年間の数字だけでなく、月ごとの売上の見込みを置いた月別の表も作ります。公庫は月別収支計画書と資金繰り表の記入例も公開しています。

感度: 何が変わると結果が大きく動くか

中のパターン(帳簿の利益 −43.48万円、手元の現金 +56.52万円)をもとに、1 つずつ条件を変えます。

変えた条件 帳簿の利益 手元の現金 中との差
料金を 10% 上げる(22,000円) −17.56万円 +82.44万円 +25.92万円
料金を 10% 下げる(18,000円) −69.40万円 +30.60万円 −25.92万円
稼働を月 2 日増やす(年 168 日) −7.48万円 +92.52万円 +36万円
稼働を月 2 日減らす(年 120 日) −79.48万円 +20.52万円 −36万円
事故で 14 日貸せず、免責額 10万円を自己負担 −74.48万円 +25.52万円 −31万円
保険を使い、翌年の保険料が年 6万円上がる −49.48万円 +50.52万円 −6万円

料金を変えると、手数料も料金に比例して変わるので、1 日の限界利益は 10% の料金の差(2,000円)より少し小さい 1,800円の差になります。稼働の日数は 1 日あたり 15,000円ずつ効きます。

修理で貸せない日は、帳簿に「費用」として出てこない損失です。この例では、繁忙期に予約が入っていた 14 日を失うと、限界利益で 21万円が消えます。日本RV協会のマニュアルは、乗用車の免責 2〜5万円では足りないため、キャンピングカーの事業者は NOC をおおむね 10〜30万円、または 5〜10万円+休業補償(1 日約 1〜3万円 × 日数)で設定していると紹介しています。NOC や休業補償を約款に定めておけば、失った分の一部を回収できます。保険を使った翌年の保険料の上がり方は、保険会社と契約の内容で違います。

もう 1 つ、固定費の効きも押さえておきます。J-Net21 の解説も、同じ利益を増やすなら固定費の削減が損益分岐点への影響が大きいとしています。例えば車庫を月 1万円安い場所にすると、帳簿の損益分岐は年 173 日から 165 日に下がります(12万円 ÷ 15,000円 = 8 日)。

減価償却と耐用年数の考え方

減価償却は、車を買ったお金を、使える年数に分けて毎年の費用にする仕組みです。この記事の例では、600万円を 4 年・定額法で償却し、年 150万円を費用にしています。

耐用年数は、税の法令(耐用年数省令)で区分ごとに決まっています。レンタカー(貸自動車業用)の自動車は、総排気量 2L 以下の小型車 3 年、3L 以上の大型乗用車 5 年、その他 4 年です。キャンピングカーが「特殊車体を架装した特殊自動車」と「貸自動車業用の自動車」のどちらに当たるかは国税庁の資料に直接の記述がなく、排気量によっては年数が変わります。一般の普通乗用車の 6 年をそのまま使うのは誤りです。実際の年数は、税理士・税務署に確認してください。

収支の計画で押さえておくことは次のとおりです。

  • 個人の償却の方法は、届け出なければ定額法です。年の途中で使い始めた場合は、1 年分の償却費を 12 で割り、その年に業務に使った月数を掛けて計算します(例: 年 150万円の車を 7 月から使えば、150万円 ÷ 12 × 6 = 75万円)。
  • 中古の車は、法定の耐用年数より短い年数(簡便法)で償却することがあります。耐用年数の見積もりは、事業に使い始めた年にしかできません。
  • 償却が終わった年から帳簿の利益は大きく増えますが、現金は増えません。車の買い替えのお金は、償却の間に手元の現金として残しておく必要があります。
  • 開業の準備のために払った費用(開業費)は、60 か月で均等に、または任意の時期に費用にできます。

消費税と税の扱い

この記事は消費税を考えずに計算しました。消費税は「開業から 2 年間は必ず免税」ではありません。インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をした、法人で資本金が 1,000万円以上、課税事業者を選んだ、などの場合は 1〜2 年目でも課税されます。課税事業者になった場合の現金への効き方は、計算の方法で変わります。一般課税では、売上で預かった消費税から、車両の購入や経費で払った消費税を差し引いて納めます(仕入税額控除)。車両を買った年は差し引く額が大きくなり、差し引ききれない分が確定申告で還付されることもあります。簡易課税は、売上の消費税額にみなし仕入率を掛けた額を差し引く計算で、レンタカー(自動車賃貸業)は第五種事業(みなし仕入率 50%)です。実際に払った車両の消費税は計算に入りません。課税事業者になる見込みがあれば、納税・還付の時期と金額を資金繰りの表に入れて計算し直してください。インボイスの登録で課税事業者になった個人には、令和8年分までの 2 割特例、令和9・10年分の 3 割特例があります。どれを選ぶと有利かは売上と車両の買い替えの時期で変わるので、税理士・税務署に確認してください。

自分で計算する手順(表の作り方)

表計算ソフトで、次の順に作ります。

  1. 前提のシートを作る: 1 日の料金、1 回の平均の日数、手数料の率、清掃の費用、減りの費用、車両の価格、借入の額と期間、利率を、1 か所にまとめる。ほかのシートはここを参照する式にする。
  2. 固定費を年額で一覧にする: 保険(見積もり)、自動車税(都道府県の税率表)、車検・点検(8 ナンバーのレンタカーは車検が初回 2 年・以後 1 年、定期点検が 3 か月ごと)、車庫、Web・通信、利息。減価償却は別の行にする。
  3. 変動費を 1 日あたりに直す: 1 回あたりの費用(清掃など)は、1 回の平均の日数で割る。手数料は売上に対する率で置く。
  4. 月別の表を作る: 12 か月の列に、月ごとの貸す日数の見込みを入れる(繁忙期と閑散期で分ける)。売上・変動費・限界利益・固定費・帳簿の利益を出す。
  5. 現金の行を足す: 帳簿の利益に減価償却を足し戻し、元金の返済を引く。車検の月・保険の更新の月など、まとめて払う月は実際の支払いの月に入れる。課税事業者なら、消費税の納税(または還付)も実際に払う(受け取る)月に入れる。
  6. 分岐の日数を出す: 帳簿の損益分岐と、元金の返済まで含めた現金の分岐を、それぞれ「月に何日」で出す。
  7. 感度を見る: 料金 ±10%、稼働 ±2 日、事故 1 件(休車の日数と自己負担)の 3 つを、前提のシートを変えて確認する。
  8. 低いパターンで資金が持つか確認する: 低のパターンで、手元の現金が最も少なくなる月にいくら残るかを見る。足りなければ運転資金を増やすか、固定費を下げる。

稼働の日数は、国土交通省へ毎年出す貸渡実績報告書の「延貸渡日車数」(貸した日数の合計)と同じ数え方にしておくと、毎年の報告と自分の数字が一致します。

camperGo でできること

camperGo の Proプランで Web 予約を受けた場合、予約が成立したときの camperGo の手数料と、カードの決済手数料(Stripe)は、この記事の「予約の経路・決済の手数料」に当たる変動費です。率は料金プランと手数料と入金をご覧ください。電話などで受けて手で入れた予約には camperGo の手数料はかかりません。Proプランでは、店舗の管理画面の「決済・売上」の「売上・手数料」で月ごとの売上・手数料・貸出の日数・稼働率を見られ、貸渡実績報告書を Excel で書き出せます。計画と実績を比べるのに使えます。掲載と認定は無料です(店舗の認定の手順)。

よくある質問

稼働率はどのくらいを見込めばよいですか?

キャンピングカーのレンタルの稼働率の公的な統計はありません。この記事の 20%・40%・60% も架空の値です。まず帳簿と現金の分岐の日数を出し、その日数を超えられるかを、地域の需要・季節・集客の方法から考えます。低いパターンでも資金が持つ計画にしておきます。

帳簿が赤字なのに、手元のお金が増えるのはなぜですか?

減価償却は、車を買ったお金を数年に分けて費用にするもので、その年に現金は出ていきません。いっぽう、借入の元金の返済は費用になりませんが、現金は出ていきます。この 2 つの差で、帳簿の利益と手元の現金は一致しません。融資の審査でも、利益から返済ができるかが確認されます。

耐用年数は何年で計算すればよいですか?

レンタカー(貸自動車業用)の自動車は、総排気量で 3 年・4 年・5 年に分かれます。キャンピングカーが特殊自動車と貸自動車業用のどちらに当たるかは国税庁の資料に直接の記述がないため、この記事では例として 4 年で計算しました。実際の年数は税理士・税務署に確認してください。

手数料はどこに入れればよいですか?

予約サイト・自社の予約の仕組み・カードの決済の手数料は、売上に比例する変動費として、売上に対する率で入れます。返金した時に決済手数料が戻らない決済サービスもあるので、キャンセルの多さも考えて率を置きます。

1 台で始めて、いつ 2 台目を考えればよいですか?

1 台目の実績で、繁忙期に予約を断った日数と、年間の稼働の日数が分岐の日数を十分に超えているかを見ます。2 台目は固定費と返済が増えるので、この記事の表に 2 台目の前提を足し、低いパターンでも資金が持つかを確認してから決めます。

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根拠

この記事は一般的な情報です。法令・保険・税の扱いは変わることがあり、地域や個別の事情によっても異なります。手続きの前に、管轄の運輸支局・税務署・保険会社・専門家にご確認ください。

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