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悪質利用・無断延長・盗難を防ぐリスク管理

悪質利用・無断延長・盗難を防ぐリスク管理

更新 2026-10-21制度・根拠の確認 2026-10-21

この記事の目次
  1. この記事の要点
  2. リスクの全体像
  3. 予約のときの審査: 断る基準を約款に書く
  4. 本人確認と運転者の確認
  5. デポジットとカードの仮押さえ
  6. GPS(車両の位置情報)の使い方
  7. 無断延長・未返却への対応
  8. 盗難の傾向と対策
  9. 外国人の利用の注意
  10. チャージバック(不審請求)への備え
  11. camperGo でできること
  12. よくある質問
  13. 関連する記事
  14. 根拠

キャンピングカーは 1 台の価格が高く、数日から 1 週間以上と長く貸し出すことも多いため、返ってこない・約束と違う人が運転する・後からカードの支払いを取り消される、といった事態の影響が大きくなります。この記事は、これから開業する方に向けて、こうしたリスクを予約の段階から減らす方法と、起きてしまったときの対応を、運輸局の約款の参考様式、国土交通省の通知、警察庁の統計、決済サービスの仕組みをもとにまとめます。

この記事の要点

  • 断る基準は約款に書いておきます。 運輸局の参考様式には、必ず断る場合(免許証の提示が無い・酒気帯び・反社会的勢力など)と、断れる場合(予約と当日の運転者が違う・過去の滞納や不返還など)の条文があります。
  • 2026 年 6 月の国の通知で、運転する可能性のある人全員の氏名を申込書に書いてもらい、それ以外の人が運転しないかを確認することが改めて求められています。免許証のコピーは法令の義務ではなく、マイナ免許証は券面を見ても免許の内容が分かりません。
  • 無断延長・未返却には、返還の請求 → 所在の確認(関係者への聞取り・位置情報)→ 刑事告訴などの法的措置の手順を約款に書いておくと、GPS を使う根拠にもなります。
  • 外国の免許で運転できるのは上陸から 1 年とその免許の有効期間のうち短い方までで、翻訳文で運転できるのは6 つの国・地域だけです。
  • カードの支払いは、事前に決済していても数か月後に不審請求(チャージバック)を申し立てられることがあります。約款への同意・本人確認・貸出と返却の写真を予約ごとに保存しておきます。

リスクの全体像

リスク 起きる場面 主な備え
悪質な利用 禁止事項の違反(喫煙・ペット・競技など)、料金の滞納 断る基準と禁止事項を約款に書く。予約の時に同意を取る
又貸し・登録外の運転 予約した人と違う人が運転する、借りた人が別の人に渡す 運転者を全員登録してもらう。当日に全員の免許を確認する
無断延長・未返却 返却の時刻を過ぎても戻らない、連絡が取れない 延長の手続きと、不返還の時の手順を約款に書く。位置情報の装置
盗難 保管中の車庫・駐車場、貸出中の駐車中 保管場所の防犯、鍵の管理、位置情報の装置
支払いの取り消し 利用後のチャージバック、他人のカードの不正利用 本人認証(3-D セキュア)、記録の保存
外国の免許での運転 運転できない免許・期間を過ぎた免許 免許の種類・上陸の日・免許の有効期限を確認する

どの備えも、約款に根拠を書く → 予約の画面と貸出の時に伝える → 記録を残す、の 3 つのステップで考えると漏れが少なくなります。約款の作り方そのものは貸渡約款と料金表の作り方で扱います。

予約のときの審査: 断る基準を約款に書く

北海道運輸局の約款の参考様式 第9条は、契約を結ばない場合を 2 つに分けています。

区分 参考様式に挙がっている場合
必ず断る(第9条第1項) 運転免許証の提示が無い / 酒気を帯びている / 麻薬・覚醒剤などの中毒の症状がある / チャイルドシートなしで 6 歳未満の幼児を乗せる / 暴力団などの反社会的な組織に属している
断ることができる(第9条第2項) 予約の時と契約の時の運転者が違う / 過去に料金の滞納がある / 過去に禁止事項を行った / 過去に不返還があった(ほかの事業者での不返還を含む) / 過去に約款・保険約款の違反で保険が適用されなかった / 別に示す条件を満たさない

「別に示す条件」として、年齢や免許を取ってからの年数などの条件を決める場合は、保険の条件と食い違わないようにします。約款と予約の画面には同じ内容を書きます(保険との関係は自動車保険の記事で扱います)。

参考様式 第33条には、放置違反金の納付命令を受けた、駐車違反の費用を払わない、不返還があった、という場合に、氏名・生年月日・免許証の番号などの個人情報が、レンタカー事業者の契約の時の審査に使われることへの同意の条項もあります。自社の約款に取り入れるかは、個人情報の扱いと合わせて決めます。

許可の条件として、自分の名義を他人に使わせて貸し出すこと(名義貸し)は禁じられ、運転者を紹介・あっせんすることもできません(通達)。「運転手付きで貸してほしい」という問い合わせは断ります。

本人確認と運転者の確認

免許の確認と記録

通達は、貸渡簿と貸渡証に運転者ごとに氏名・住所・免許の種類・免許証の番号を書くよう求めています。一方で、免許証の写しを取ることや対面で確認することを定めた規定はありません。 写しを取るかは事業者の判断です。写しを保存するなら、利用目的を示し、見られる人を限り、保存する期間を決めます。免許証の番号はそれだけで個人情報に当たる「個人識別符号」です(個人情報保護法施行令 第1条)。

マイナ免許証(運転免許の情報を記録したマイナンバーカード)は券面に免許の情報が無く、警察庁の読み取りアプリで、本人が設定した暗証番号を入れて確認します(続けて間違えるとロックされるので、店頭で何度も試させないようにします)。保存した画像だけで確認を済ませず、カードの裏面のマイナンバーは写しません。注意点の一覧はレンタカー事業で守るべき法律と開業後の届出・報告の個人情報の節にまとめています。

運転者全員の氏名(2026 年 6 月の通知)

2026 年 6 月 30 日付の国土交通省の通知(国総モ第23号)は、運転する可能性のある人全員の氏名を申込書に書いてもらうこと、取りに来た人が借受人と違うときは関係を確認すること、補償が出ない場合があることを貸出の時に伝えることなどを求めています(項目の一覧はレンタカー事業で守るべき法律と開業後の届出・報告)。予約の画面で運転者を全員入れてもらい、当日は全員の免許を確認します。予約の後に運転者が増えるときの連絡の方法も、約款と案内に書いておきます。

デポジットとカードの仮押さえ

デポジット(保証金)は、損害の精算に充てるだけでなく、無断延長や禁止事項の違反を思いとどまらせる効果も期待されます。受け取り方は、現金で預かるか、カードの枠を押さえる(オーソリ)かのどちらかが中心です。

カードの仮押さえ: Stripe では、決済の承認(与信)と確定(キャプチャー)を分けられます。オンラインのカード決済の押さえは通常 7 日間で、日本のアカウントでは主要なカードブランドの円建ての取引を最長 30 日間押さえられます(ブランドによっては標準の期間)。期限までに確定しないと押さえは解放されます。予約から出発まで日がある場合は、予約の時の押さえが返却の時まで残らないため、押さえる時期を出発の前後に合わせます。

現金で預かる場合: 出資法で禁じられる「預り金」に当たらないかを、仕組みを作る前に専門家に確認してください。

預り金の 4 つの要件(金融庁の事務ガイドライン)と、充てる項目・返す時期・足りないときの扱いは、破損・汚損・修理費用の請求ルールで扱います。

GPS(車両の位置情報)の使い方

参考様式 第23条は、返却の期限を過ぎても返さず返還の請求に応じない場合や、所在が分からず不返還と認められる場合に、所在を確認するため家族・親族・勤務先などへの聞取りや、車両の位置情報システムの作動などの措置をとると定めています。位置情報の装置を付けるなら、この条項のように「どの場面で使うか」を約款に書いておくと、使う根拠がはっきりします。

位置情報を含め、利用者の個人情報を Web のフォームなどで本人から直接取得するときは、あらかじめ利用目的を示す必要があります(個人情報保護法 第21条)。位置情報の取得について約款の同意で足りるか、どこまで示せばよいかを国が示した資料は、この記事の調査では確認できませんでした。次の点は最低限そろえ、具体的な書き方は専門家に確認してください。

  • 車に位置情報の装置が付いていることを、予約の画面・約款・貸出の時の説明で伝える。
  • 使う場面(盗難・不返還・事故の時など)と、使わない場面を書く。
  • 位置の記録を見られる人を限り、保存する期間を決める。

無断延長・未返却への対応

参考様式は、延長と不返還を分けて扱っています。

  • 延長: 期限までに返さなかったときは、事業者に与えた一切の損害を賠償する(第19条)。天災などの不可抗力で返せないときは責任を負わないが、直ちに連絡して指示に従う。
  • 不返還: 期限を過ぎても返さず返還の請求に応じない、または所在が分からないなどで不返還と認められるときは、刑事告訴などの法的措置をとる。所在の確認のため関係者への聞取りや位置情報システムの作動などを行い、利用者は損害賠償のほか回収・探索の費用を負担する(第23条)。

これをもとに、社内の手順を決めておきます。

  1. 返却の時刻を過ぎたら、すぐ連絡する: 電話・メール・メッセージで連絡し、日時と内容を記録します。延長の希望なら、空き・料金・運転者を確認して延長の手続きをします。延長しても貸渡簿には実際の貸渡しの期間を記録します。
  2. 連絡が取れなければ、申込書の連絡先にあたる: 約款に定めた範囲で、緊急連絡先・勤務先などに問い合わせます。
  3. 位置情報で所在を確認する: 約款と説明で示した範囲で使います。
  4. 警察に相談する: 返還の請求に応じない、所在が分からないなどで不返還と判断したら、警察に相談します。借りた物を返さない行為は、刑法の横領罪(第252条、5 年以下の拘禁刑)が問われうるものですが、当たるかは個別の判断です。
  5. 費用を請求する: 延長分の料金、回収・探索の費用、車を使えなかった損失などを、約款にもとづいて請求します。

延長料金や無断延長の違約金の妥当な水準を示した公的な資料はありません。延長料金は通常の料金表にもとづく額とし、違約金を設けるなら実際の損失と釣り合う額にします。

盗難の傾向と対策

警察庁によると、2025 年の自動車盗の認知件数は 6,386 件で、前年より 5.0% 増えました。キーが差し込まれたり運転席の周りに置かれたりしていない状態(キーなし)での被害が 77.8% で、2003 年以降で最も高い割合です。発生場所は一般住宅が 45.2% で最も多く、駐車場も 27.9% あります。検挙率は 37.3% です。レンタカーの貸出車両に限った盗難の統計は公表されていませんが、車庫・駐車場に止めている時間が長いレンタカーは、保管中の盗難への備えが欠かせません。

場面 対策の例
保管場所 照明・防犯カメラ、出入口の管理、ハンドルロックやタイヤロックなどの物理的な対策
鍵 鍵の保管庫と持ち出しの記録、スペアキーの管理
車両 位置情報の装置、盗難への補償の範囲(車両保険で盗難が対象になるかは保険会社に確認)
貸出中 駐車中の施錠、貴重品を車内に残さない、盗難の時の連絡先を貸渡証と案内に書く

キーなしでの被害が多いため、鍵の管理だけでなく、物理的な対策と位置情報を組み合わせます。盗難や事故が起きた後の連絡の流れは事故・故障時の対応方法で扱います。

外国人の利用の注意

外国の免許で運転できるのは、ジュネーブ条約の様式の国際運転免許証(または政令の 6 つの国・地域の免許と翻訳文)で、上陸から 1 年とその免許の有効期間のうち短い方までです。住民登録のある人が出国して 3 か月未満で戻った場合は数え直されません。受付では、上陸の日を旅券で、免許の有効期限を免許証で確認し、返却の日まで有効かを見ます。運転できない国の例や翻訳文の条件はレンタカー事業で守るべき法律と開業後の届出・報告にまとめています。

冬の貸出では、中部運輸局愛知運輸支局が、外国人の観光客などへの貸出で次のことを求めています。日本の交通ルールと雪道の運転の周知、行き先に雪の降る地域が含まれるかの確認、スタッドレスタイヤを付けた車の貸出、滑り止めの措置の義務の周知などです。国土交通省は 2017 年に、レンタカーを使う訪日外国人が 2011 年から 2015 年の 5 年で約 4 倍になったとして、事故の多い地点の対策を始めました(数字は当時のもの)。日本人と比べた外国人の事故率の最新の公的な統計は見当たりません。国籍で一律に断るのではなく、免許の有効性・運転者の登録・利用の案内を全員に同じように行います。

チャージバック(不審請求)への備え

利用者がカード会社に支払いの取り消しを申し立てるのがチャージバック(Stripe では「不審請求」)です。Stripe の説明では、次のような仕組みです。

  • 申し立てがあると、その金額と手数料が事業者の残高から引かれ、期間中は保留になります。手数料は 1 件 1,500 円で、主張が認められても原則として戻りません。
  • カードを持つ人は、通常は支払いから 120 日以内に申し立てられます。将来のサービスの支払いでは、サービスの日から期間が始まることが多いとされます。予約の時に事前に払ってもらっていても、利用の数か月後に申し立てがあることがあります。
  • 事業者が反証の資料を出す期限は通常 7〜21 日で、回答は 1 回だけです。期限までに回答しないと自動的に負けます。結果が出るまで 2〜3 か月かかり、判断はカード会社が行います。
  • 返金の手続き中に申し立てがあった場合は、二重に払い戻さないよう、返金ではなく申し立ての受け入れか反論で対応するよう案内されています。

反証に使える資料を、予約ごとにまとめて保存しておきます。

  • 予約の内容と、約款・キャンセル規定への同意の記録
  • 運転者の登録と、当日に免許を確認した記録
  • 貸出時と返却時の写真・チェックシート、貸渡証
  • 利用者とのやり取り(メール・メッセージ)

また、クレジットカード・セキュリティガイドライン 6.0 版(2025 年 3 月)は、ネットで決済を受ける加盟店の不正利用の対策に、EMV 3-D セキュアの導入を加えています。原則として決済のたびに本人認証を行う仕組みです。Web 予約で決済を受けるなら、本人認証が働く仕組みを使います。

camperGo でできること

camperGo の運営側で公開情報をもとに掲載している店舗があり、店舗の方は無料で認定して情報を管理できます(店舗の認定の手順)。Proプランでは Web 予約と事前のカード決済を受けられ、予約の確定のしかたを「承認制」にすると、申込みの時はカードの枠を押さえるだけにして、店舗が内容を見て承認したときに引き落とします。承認の期限は 1〜48 時間で決められ、断ったときや期限が過ぎたときは押さえが取り消されます(予約の設定・予約を受けたら)。貸渡約款は予約の画面で全文を開いてから同意してもらう形で、「喫煙しない」などの同意事項も足せます(規約とポリシー)。なお、当日の延長・追加料金・損害の精算は camperGo の外で、店舗と利用者の間で行います。くわしくはProプランをご覧ください。

よくある質問

免許証のコピーは取らなければいけませんか?

法令の義務ではありません。通達が求めているのは、貸渡簿と貸渡証に運転者ごとの氏名・住所・免許の種類・番号を書くことです。写しを取るなら、利用目的を示し、見られる人と保存の期間を決めます。マイナ免許証は券面に免許の情報が無いので、コピーでは確認にならず、裏面のマイナンバーも写してはいけません。

予約した人と違う人が車を取りに来たら、どうしますか?

2026 年 6 月の国の通知は、取りに来た人が借受人と違う場合は関係(家族・勤務先など)を確認し、必要なら裏付けを求めるよう求めています。申込書に書かれた運転者でない人には運転させず、約款で運転者の追加に事前の承諾が要ることを伝えます。参考様式でも、予約の時と契約の時の運転者が違う場合は契約を断れる場合に挙がっています。

デポジットは必ず取るべきですか?

法令の決まりはなく、事業者の判断です。取るなら、充てる項目・返す時期・足りないときの扱いを約款に書きます。カードの仮押さえは長くて 30 日なので、押さえる時期を出発に合わせます。現金で預かる場合は、出資法の預り金に当たらないか専門家に確認してください。

外国から来た人に貸すとき、何を確認すればよいですか?

免許がジュネーブ条約の様式の国際運転免許証か、翻訳文で運転できる 6 つの国・地域の免許と正規の翻訳文かを確認します。運転できるのは上陸から 1 年とその免許の有効期間のうち短い方までなので、上陸の日(旅券)と免許の有効期限を見て、返却の日まで有効かを確認します。行き先に雪の降る地域が含まれる場合は、冬道の注意とタイヤの装備も説明します。

返却の時刻を過ぎても連絡が取れません。すぐ警察に届けてよいですか?

まず約款の手順にそって、本人と申込書の連絡先に連絡し、記録を残します。返還の請求に応じない、所在が分からないなどで不返還と判断できる段階になったら、警察に相談します。どの段階で届けるかは、約款に手順として書いておくと迷いません。

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根拠

この記事は一般的な情報です。法令・保険・税の扱いは変わることがあり、地域や個別の事情によっても異なります。手続きの前に、管轄の運輸支局・税務署・保険会社・専門家にご確認ください。

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