更新 2026-10-21制度・根拠の確認 2026-10-21
この記事の目次
レンタカーの許可を申請すると決めたあと、多くの人が手を止めるのが書類づくりです。この記事では、申請書と添付書類を 1 点ずつ取り上げ、何を書くのか、どこで取るのか、どこで間違えやすいのかを、運輸局の通達・手続細則・様式に沿って説明します。申請先・審査の期間・費用などの手続きの流れは自家用自動車有償貸渡業許可の取得方法で扱っているので、あわせてご覧ください。
この記事の要点
- 申請書に書くのは「氏名・住所」「事務所の名称・所在地」「貸渡しの実施計画」「貸渡しを必要とする理由」の 4 項目です(道路運送法施行規則第52条)。料金と約款は必ず添付します。
- 添付書類は、関東・近畿の通達で 5 点(料金と約款・登記簿謄本または住民票・宣誓書・事務所別車種別配置車両数一覧表・貸渡しの実施計画)です。北海道運輸局の案内は計 4 点で、宣誓書などは一覧にありません。様式・部数は運輸局で違うため、主たる事務所を管轄する運輸支局のページで確認します。
- 8 ナンバーのキャンピングカーは、配置車両数一覧表の「特種」の欄に数えます。
- 事務所や車庫の図面・駐車場の契約書は、関東・近畿・北海道の現行の添付書類の一覧に入っていません(無人の拠点で貸すカーシェア型を除く)。車庫の書類は「わ」ナンバーの登録の段階で警察署に出します。
- 料金表は「クラス×期間の基本料金」と「割増の上限額」の形で作ると、季節料金を変えるたびに届け出る手間が減ります。
書類の全体像: 何を、どこで用意するか
まず全体を 1 枚の表で見ておきます。「自分で作る」書類が大半で、役所で取るのは登記簿謄本か住民票だけです。
| 書類 | 用意のしかた | 関東・近畿 | 北海道の案内 |
|---|---|---|---|
| 許可申請書 | 運輸支局の様式に記入 | 要る | 要る |
| 貸渡料金表 | 自分で作る(参考様式がある運輸局あり) | 要る | 要る |
| 貸渡約款 | 自分で作る(参考様式がある運輸局あり) | 要る | 要る |
| 登記簿謄本(法人)/住民票(個人) | 法務局/市区町村で取る | 要る | 要る |
| 欠格事由に当たらない旨の宣誓書 | 運輸支局の様式例に記入 | 要る | 一覧に無い |
| 事務所別車種別配置車両数一覧表 | 運輸支局の様式例に記入 | 要る | 一覧に無い |
| 貸渡しの実施計画 | 運輸支局の様式例に記入 | 要る | 一覧に無い |
北海道運輸局の案内(カーシェアをしない場合)は、申請書・登記簿謄本または住民票・料金表・約款の 4 点を、合計 2 部(1 部は控え。コピー可)で窓口に出す形です。関東・近畿と書類の数が違うのは、各運輸局が国の通達をもとに公示や手続細則を定めているためです。九州・東北・中部・沖縄などの一覧は、この記事を書く時点で確認できていません。ほかの地域の様式やネット上の雛形を流用せず、主たる事務所を管轄する運輸支局のページから様式を取ってください。たとえば関東運輸局栃木運輸支局のページは、新規許可申請書・変更届出・廃止届出を Word と PDF で、近畿運輸局のページは申請書・届出書を Word で載せています。
申請書: 4 つの記載事項の書き方
申請書の名前は、省令(道路運送法施行規則第52条)では「自家用自動車貸渡許可申請書」、運輸局の様式では「自家用自動車有償貸渡許可申請書」です。名前は少し違いますが、記載事項は同じ 4 項目です。
1. 氏名または名称・住所
個人は住民票どおりの氏名・住所、法人は登記どおりの名称・本店の所在地と代表者の氏名を書きます。添付する住民票・登記簿謄本と一字でも食い違うと補正の対象になりやすいので、添付書類を先に取ってから書き写すのが安全です。
2. 事務所の名称・所在地
貸渡しをする事務所(営業所)の名称と所在地です。複数の事務所を置くなら、どれが「主たる事務所」かが分かるように書きます。申請先は主たる事務所を管轄する運輸支局で、許可のあとに別の場所へ事務所を増やすときは、その事務所の所在地を管轄する運輸支局へ事前に届け出ます。事務所の所在地は、車を置く場所(保管場所)が 2km 以内に取れるかどうかの起点にもなります。場所の決め方は営業所・駐車場の要件で扱います。
3. 貸渡しの実施計画
省令上は申請書の記載事項ですが、関東・近畿の運用では「貸渡しの実施計画」という別紙(様式例3)を添付する形です。中身は後の節で詳しく書きます。
4. 貸渡しを必要とする理由
事業の目的を簡潔に書く欄です。四国運輸局の記載例は、修理で車を預かったときに代車を有償で貸すため、という 1 文の書き方を示しています。キャンピングカーなら「旅行・レジャーの利用者にキャンピングカーを貸し渡すため」のように、何のための許可かが分かれば足ります(書き方の例で、運輸支局が指定した文ではありません)。長い事業計画書は求められていません。
貸渡料金表: 確定額で書き、割増は上限額で届け出る
料金表と約款は、省令(第52条第2項)で添付が決まっている書類です。料金表は、2023 年 6 月の国の事務連絡に沿って、車のクラスと貸渡期間(時間)ごとの基本料金を確定額で書き、割増を取るならその上限額(比率でも可)を書く形にします。この形なら、繁忙期・閑散期の適用日を変えるたびに届け出る必要はありません。季節ごとに別の基本料金を並べる形で届け出ると、そのつど変更の届出が要ります。
書類としての注意は 2 点です。基本料金を下回る割引は届け出る必要がありません。通常の貸出とカーシェアで料金が違うなら、それぞれ届け出ます。架空の料金表の例、割増の上限額の決め方、お客様への示し方は貸渡約款と料金表の作り方で扱います。
貸渡約款: 参考様式を土台に、自分の運用に合わせる
約款は、貸出の条件(予約と取消し、運転者の条件、禁止事項、事故・故障のときの対応、補償など)を定めた文書です。白紙から作る必要はなく、運輸局が参考様式を載せています(北海道運輸局の「レンタカー貸渡約款様式」など)。
参考様式を使うときに気をつけたい点は次のとおりです。
- 保険・補償の欄を埋める: 北海道運輸局の参考様式には、対人・対物・車両・搭乗者の限度額や免責額を書く条があります。許可の基準(対人 1 人 8,000 万円以上・対物 1 件 200 万円以上・搭乗者 1 人 500 万円以上〈人身傷害保険でも可〉)を満たす数字を、実際の保険の契約と合わせて書きます。
- 運用と食い違わせない: 予約の取消料、返却が遅れたときの扱い、ペットや喫煙の可否など、実際の運用を約款に反映します。申請のあとで変えた場合は、遅滞なく変更を届け出ます。
- 2026 年の国の通知を反映する: 2026 年 6 月 30 日付の国土交通省の通知(国総モ第23号)は、次の 2 点を求めています。運転する可能性のある人全員の氏名を申込書に書いてもらうこと、約款違反などで保険や補償が出ない場合があることを貸出の時に伝えることです。約款の運転者の条項と申込書の項目を、これに合わせておきます。
約款の条項ごとの考え方は貸渡約款と料金表の作り方、免責補償や NOC の決め方は免責補償制度(CDW)と NOCで扱います。
登記簿謄本・住民票と宣誓書
登記簿謄本または住民票
法人は会社の登記簿謄本(登記事項証明書)を法務局で、個人は住民票を市区町村で取ります。これから法人を作る場合は、通達上は発起人名簿で代えます。「発行から何か月以内のもの」という指定は、この記事で確認した文書には書かれていませんでした。取る前に、管轄の運輸支局の案内で確認してください。
欠格事由に当たらない旨の宣誓書
近畿の様式では、計 6 項目について「該当しない」ことを宣誓します。中身は、欠格事由(刑の執行を終えてからの年数、運送事業やレンタカーの許可の取消しからの年数、取消し前の廃止の届出など)、未成年者の法定代理人、申請日前 2 年以降の運送事業に似た行為での処分です。
- 法人は、役員の分も要ります(関東の手続細則)。役員が多い会社は、全員の署名をそろえるのに時間がかかるので早めに動きます。
- 許可のあとで役員が変わったときも、宣誓書を付けて届け出ます。
- 欠格事由の中身は取得方法の記事にまとめています。当てはまるか迷う人がいれば、申請の前に運輸支局へ相談してください。
事務所別車種別配置車両数一覧表: キャンピングカーは「特種」
事務所ごとに、配置する車の台数を車種の区分別に書く表です。近畿の様式では、乗用・バス・トラック・特種・二輪・合計の欄があり、下段に軽自動車を書きます。
8 ナンバー(特種用途自動車)のキャンピングカーは「特種」の欄に数えます。乗用車として登録されているバンコン(3・5 ナンバー)を貸すなら「乗用」です。同じキャンピングカーでも、車検証の用途で欄が変わる点に注意してください。
架空の例で書き方を示します。
| 事務所 | 乗用 | バス | トラック | 特種 | 二輪 | 合計 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 本店営業所 | 1 | 0 | 0 | 2 | 0 | 3 |
| (軽自動車) | — | — | — | — | — | 1 |
この例は、8 ナンバーのキャブコン 2 台、乗用登録のバンコン 1 台、軽キャンパー 1 台を本店に置く場合です。軽自動車をどの区分に書くかは、様式の注記と運輸支局の案内に従ってください。
同じ表(様式2)は、許可のあと毎年 5 月 31 日までに出す貸渡実績報告にも、3 月 31 日時点の台数で付けます。最初の申請で書き方を覚えておくと、毎年の報告が楽になります。
貸渡しの実施計画: 何を書けば足りるか
実施計画は、関東・近畿の通達で書く事項が決まっています。
| 項目 | 通達の文言の要旨 | 書き方の例(運輸支局の指定の文ではない) |
|---|---|---|
| ア 体制 | 運送事業に似た行為を防ぐ体制(事務所ごとの責任者、従業員の指導・研修計画) | 「本店営業所の責任者は申請者本人。従業員を雇うときは、運転者の紹介・あっせんをしないことを採用時に説明する」 |
| イ 貸渡しの方法 | 運送事業に似た行為を防ぐ貸渡しの実施方法 | 「運転者の紹介・あっせんをしない旨を事務所の掲示と Web サイトに示す。借受人と運転者全員の免許証を確認し、貸渡簿に記録する」 |
| ウ その他 | 保険の加入状況・加入計画、整備管理者(整備責任者)の配置計画など | 「対人○○万円・対物○○万円・人身傷害○○万円で加入予定(保険会社と相談中)。整備責任者は申請者本人」 |
近畿の様式には、保険会社名・補償額・免責額と、整備管理者の資格の有無を書く欄があります。申請の時点で保険会社と話を進めておかないと、この欄が埋まりません。保険の水準と選び方は自動車保険の記事をご覧ください。
整備管理者は、乗車定員 10 人以下・車両総重量 8 トン未満のレンタカーなら、使用の本拠ごとに 10 両以上で選任が義務になります(道路運送車両法第50条・施行規則第31条の3)。1〜数台で始めるなら選任の義務はありませんが、実施計画には「整備責任者」の配置を書く欄があるので、誰が点検整備の管理をするかは決めておきます。
カーシェア型で貸す場合の追加書類
事務所の窓口を通さず、無人の拠点(デポジット)で会員に貸す「レンタカー型カーシェアリング」をする場合は、関東・近畿で次の書類が加わります。
- 車名・型式
- 保管場所(デポジット)の所在地と配置図、それを管理する事務所の所在地
- IT による車の状況の把握の方法
- 車とキーの管理・貸出の方法
- 会員規約または契約書(乗り捨てのワンウェイ方式は確約書も)
キーボックスでの受け渡しを考えている場合、通常のレンタカーとカーシェア型のどちらとして申請するかで書類が変わります。始める前に、運用の形を説明して運輸支局に相談してください。
一覧に入っていない書類と、許可のあとに出す書類
ネット上の解説には「事務所と車庫の位置図・平面図」「駐車場の賃貸借契約書」を申請に付ける、と書いたものがあります。関東・近畿・北海道の現行の添付書類の一覧には、これらは入っていません(配置図はカーシェア型のデポジットについてだけ)。現行の許可の基準に車庫の要件が無いためです。ただし車庫が不要になったわけではなく、「わ」ナンバーで登録するときに、警察署で車庫証明(軽自動車は保管場所の届出)の手続きが要ります。運輸支局が求める場合もありうるので、案内に書かれていない書類を持って行くかどうかは窓口で確認してください。
許可が出たあとにも書類が続きます。
| 時期 | 書類 | 中身 |
|---|---|---|
| 許可のあと | 登録免許税の領収書の届出書(北海道の名称) | 9 万円を納めた領収書を貼って運輸支局へ |
| 許可のあと | レンタカー事業者証明書の交付申請(運輸局による) | 関東は新規許可のときは申請によらず交付 |
| 変更のつど | 届出書(近畿は「自家用有償貸渡しに係る届出書」) | 変更事項に番号を付けて新旧を書く。事務所の新設・移転は事前 |
| 毎年 5 月 31 日まで | 貸渡実績報告書・配置車両数一覧表 | 前年度の実績と 3 月 31 日時点の台数 |
| やめるとき | 廃止届 | 事業の廃止のあと遅滞なく |
「わ」ナンバーの登録の段取りはレンタカー登録と「わ」ナンバー取得の流れ、開業後の届出・報告は開業後の届出・報告で扱います。
書類をそろえる順番
手戻りを減らすには、ほかの書類の前提になるものから決めていきます。
- 主たる事務所の場所を決め、管轄の運輸支局のページから様式一式を取る。
- 貸す車と台数を決め、車検証(購入予定なら見積もりの車の情報)で用途の区分を確認する。配置車両数一覧表が書ける状態にする。
- 保険会社・代理店に、レンタカーとして引き受けてもらえるか、どの水準で入れるかを相談する。実施計画の保険の欄を埋める。
- 料金表と約款を作る。約款の保険・補償の欄は 3 の内容と合わせる。
- 住民票または登記簿謄本を取り、法人は役員全員の宣誓書をそろえる。
- 申請書を書き、添付書類との食い違い(氏名・住所・事務所名・台数)がないかを照らし合わせてから、指定の部数を出す。
申請書は自分で作って出せます。他人に報酬を払って作ってもらう場合は、他の法律に別段の定めがある場合などを除き、相手は行政書士(行政書士法人)に限られます(行政書士法第19条)。判断の目安は取得方法の記事にまとめています。
よくある質問
様式はどこで手に入りますか?
主たる事務所の所在地を管轄する運輸支局(運輸局)のレンタカーのページに、申請書・届出書・報告書の様式が Word・PDF・Excel などで載っています。運輸局ごとに様式と添付書類の数が違うので、別の地域の様式やネットの雛形は使わないでください。見つからないときは、運輸支局の窓口に問い合わせます。
車庫の契約書や図面は申請のときに要りますか?
関東・近畿・北海道の現行の添付書類の一覧には入っていません(無人の拠点で貸すカーシェア型の配置図を除く)。車庫は、「わ」ナンバーの登録のときに警察署の車庫証明(軽自動車は保管場所の届出)で確認されます。許可が出ても車庫証明が取れなければ登録できないため、場所は申請の前に決めておきます。
住民票や登記簿謄本は発行から何か月以内のものが要りますか?
この記事で確認した運輸局の文書には、発行の時期の指定は書かれていませんでした。運輸支局によって案内が違う可能性があるので、提出の前に管轄の運輸支局に確認してから取るのが確実です。
キャンピングカーは配置車両数一覧表のどの欄に書きますか?
8 ナンバー(特種用途自動車)の車は「特種」の欄です。乗用車として登録されているバンコンは「乗用」の欄になります。車検証の用途を見て欄を決め、軽自動車は様式の下段に書きます。
料金表を出したあとで料金を変えたくなったら?
基本料金や割増の上限額を変えたときは、遅滞なく変更を届け出ます。届け出た上限の範囲で繁忙期・閑散期の適用日を変えるだけなら、届出は要りません。基本料金より安くする割引も届出は要りません。
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根拠
- 道路運送法施行規則(e-Gov 法令検索) — 第52条(申請書の名称・記載事項 4 項目・料金と約款の添付)(確認 2026-10-21)
- 自家用自動車有償貸渡許可申請等手続細則(関東運輸局栃木運輸支局) — 添付書類 5 点・役員の宣誓書・実施計画の記載事項・カーシェア型の追加書類(確認 2026-10-21)
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- 道路運送車両法(e-Gov 法令検索) / 同施行規則 — 第50条・第31条の3(整備管理者の選任)(確認 2026-10-21)
- 行政書士法(e-Gov 法令検索) — 第19条(書類作成の制限)(確認 2026-10-21)
この記事は一般的な情報です。法令・保険・税の扱いは変わることがあり、地域や個別の事情によっても異なります。手続きの前に、管轄の運輸支局・税務署・保険会社・専門家にご確認ください。

