更新 2026-10-22制度・根拠の確認 2026-10-22
この記事の目次
割引は、空いている日を埋める手段にもなれば、割引しなくても埋まった日の利益を削るだけの手段にもなります。この記事は、キャンピングカーのレンタル事業を始める方に向けて、連泊割・早期予約割・直前割・クーポンの使い所、利益を削らないための計算のしかた、割引を表示するときの景品表示法などの注意をまとめます。
この記事の要点
- 割引は「空いている日を埋める」「長く借りてもらう」「早く予定を立てる」「また来てもらう」のどれに効かせるかを決めてから使います。目的の無い割引は、割引しなくても埋まった日の利益を削るだけになります。
- 割引は限界利益(料金 − 変動費)から削られます。架空の例では、10% の割引で同じ利益を残すには貸す日数を約 13%、20% なら約 30% 増やす必要があります。
- 連泊割の原資は、清掃・受け渡しなど 1 回ごとにかかる費用の節約です。その範囲で割引の幅を考えます。
- 「通常〇円 → 〇円」と割引前の価格を示すなら、その価格に 8 週間のうち過半などの販売の実績が要ります。最大の割引率だけを強調する表示も不当表示のおそれがあります。
- 割引は原則として景品類に当たりませんが、抽選で当たる割引や、使い道を限った割戻しは景品規制の対象になりえます。口コミの見返りの割引は、Google の規約で禁止されています。
割引の種類と使い所
キャンピングカーのレンタルでよく使われる割引を、目的ごとに並べます。どれも法令で決まった形は無く、店舗が自分で設計します。
| 割引 | 目的 | 効きやすい場面 | 気をつけること |
|---|---|---|---|
| 連泊割・長期割 | 長く借りてもらい、清掃・受け渡しの回数を減らす | 平日や閑散期の 3 泊以上 | 繁忙期に長く押さえられると、ほかの予約を断ることになる |
| 早期予約割 | 早く予定を埋め、売上の見通しを立てる | 予約が埋まりにくい期間 | 早い予約ほどキャンセルの可能性も残る。条件と締切を示す |
| 直前割 | 直前まで空いている日を埋める | 前日〜1 週間前の空き | 常に直前に安くなると、お客様が予約を遅らせる |
| 平日割・閑散期の料金 | 需要の少ない日に借りる人を増やす | 平日・冬など | 割引というより区分の料金として示すほうが分かりやすい |
| リピーター割・会員割 | また来てもらう | 2 回目以降の利用 | 誰でもすぐなれる会員の価格を、会員でない価格と比べて示さない |
| クーポン(コード) | 配った相手と時期を絞って割り引く | お知らせの配信・地域の観光との連携・紹介 | 対象・期間・併用・上限を決めて示す |
平日や閑散期の料金を下げることは、季節の料金の組み立てとして扱うほうが分かりやすい場合が多くあります。区分ごとの料金の決め方は平日・休日・繁忙期の料金設定方法で扱っています。
利益を削らない設計: 限界利益で計算する
割引の効き目を判断するときは、売上ではなく限界利益(料金から、貸すたびに増える変動費を引いた残り)で考えます。割引で料金が下がっても、清掃費や消耗品などの変動費は下がりません。料金に比例する手数料が少し減るだけなので、割引の分のほとんど(この例では 9 割)が限界利益から削られます。
次の数字はすべて架空の前提で、相場を示すものではありません。
| 項目 | 架空の前提 |
|---|---|
| 1 日の料金 | 25,000円 |
| 1 日ごとの変動費(タイヤ・オイルの減り、消耗品) | 3,000円 |
| 1 回の貸出ごとの費用(清掃・リネン・受け渡し) | 6,000円 |
| 予約の経路と決済の手数料 | 料金の 10% |
| 消費税 | 考えない(免税事業者で、税込の金額のまま計算) |
まず、1 回ごとの費用は貸出の回数が同じなら変わらないので、ここでは日ごとの数字で比べます。割引前の 1 日の限界利益は、25,000円 × 0.9 − 3,000円 = 19,500円です。
| 割引 | 割引後の料金 | 1 日の限界利益 | 割引前と同じ限界利益を残すのに要る日数の増え方 |
|---|---|---|---|
| なし | 25,000円 | 19,500円 | — |
| 10% | 22,500円 | 17,250円 | 約 13% 増(10 日 → 約 11.3 日) |
| 20% | 20,000円 | 15,000円 | 30% 増(10 日 → 13 日) |
| 30% | 17,500円 | 12,750円 | 約 53% 増(10 日 → 約 15.3 日) |
割引率が 2 倍、3 倍になると、要る日数の増え方はそれ以上に大きくなります。これは、割引の後も変動費が下がらず、料金より小さい限界利益から割引の分が削られるためです。
ただし、この表は「割引をした日が、割引をしなくても埋まっていた」場合の計算です。割引が無ければ空いていた日が割引で埋まったのなら、その日の限界利益(この例の 20% 割引なら 15,000円)はまるごと増えた分になります。つまり、割引が利益になるかどうかは、割引で新しく埋まった日と、割引しなくても埋まった日の比率で決まります。式にすると、次のようになります。
割引による利益の増減 = 新しく埋まった日の限界利益 − 割引しなくても入っていた予約の値引きの分 − 割引のために増える費用 − 割引の予約で断ることになった予約の限界利益
上の 20% 割引の例で、割引しなくても 10 日埋まり、割引で 3 日が新しく埋まったとします。新しく埋まった日の限界利益は 15,000円 × 3 日 = 45,000円、もともとの 10 日の値引きの分は(19,500円 − 15,000円)× 10 日 = 45,000円で、ほかの費用を考えなくても(1 回ごとの費用も表と同じく除いています)増減はゼロです。表の「30% 増(10 日 → 13 日)」は、この釣り合いを示しています。
ここから、利益を削らない設計の原則が出てきます。
- 割引は、空きが出やすい日・期間に限る: 繁忙期や休日など、割引しなくても埋まる日には付けない。
- 割引の条件で、対象を絞る: 平日の 3 泊以上、利用日の 60 日前までの予約、配信を受け取ったお客様だけ、など。
- 割引の後の料金を、2 つの物差しで確認する: 空いていた日を埋めるための割引なら、割引の後も限界利益が残るか。ふだんの料金として続ける割引なら、月・年の平均の料金が採算の目安(平均料金の目安)を下回らないか。平均料金の目安の出し方はキャンピングカーレンタル料金の決め方で説明しています。
- 増える分だけでなく、減る分も数える: 割引しなくても入っていた予約の値引きの分、クーポンの配布などの費用、割引の予約で長く押さえられてほかの予約を断る損失まで含めて判断する。
- 割引ごとに、使われた件数と埋まった日を記録する: 効いていない割引は止める。
損益分岐の日数との関係は1台から始めるレンタル事業の収支シミュレーション、手数料の経路ごとの違いは予約手数料・決済手数料を考慮した利益計算でも扱っています。
連泊割・長期割: 1 回ごとの費用から幅を決める
連泊割の原資は、1 回ごとにかかる費用の節約です。清掃・リネンの交換・受け渡しの説明は、1 泊でも 3 泊でも 1 回ずつかかります。上の架空の前提で、3 泊の予約を 1 回受ける場合と、1 泊の予約を 3 回受ける場合を比べます。
- 1 泊 × 3 回: 1 回ごとの費用 6,000円 × 3 回 = 18,000円
- 3 泊 × 1 回: 1 回ごとの費用 6,000円 × 1 回 = 6,000円
- 差: 12,000円
手数料が料金の 10% なので、割引のうち実際に限界利益から減るのは割引額の 9 割です。12,000円 ÷ 0.9 ≒ 13,333円までの割引なら、1 泊の予約を 3 回受けた場合と同じ利益が残ります。3 泊の料金 75,000円に対して約 18% です。
ただし、これは「1 泊の予約で 3 日とも埋まる」場合と比べた上限の目安です。実際には 1 泊の予約で毎日埋まることは少ないので、連泊割には空いていた日を埋める効果もあります。逆に、繁忙期に長期の予約を受けると、短い予約を何件も断ることになりかねません。連泊割は平日や閑散期に限る、または繁忙期は割引の率を下げる、といった条件を付けると、利益を削らずに使えます。
1 週間を超えるような長期の貸出では、次の点も決めておきます。
- 途中の点検や清掃をどうするか(長く借りるほど、車の状態を確認できない期間が長くなる)
- 走行距離の上限を設けるか、超えた分の料金をどうするか
- 途中で返したときの料金の扱い(約款と料金表に書く)
早期予約割と直前割: 条件と締切を示す
早期予約割は、「利用日の 60 日前までの予約で 10% 割引」のように、早く予約したお客様の料金を下げる仕組みです。売上の見通しが早く立ち、予約が埋まりにくい期間を先に埋められます。いっぽうで、次の点に注意します。
- 割引しなくても埋まる期間に付けない: 繁忙期は、割引しなくても早く埋まることが多い期間です。
- キャンセルと変更の条件を決める: 早い予約ほど、利用日までの期間が長く、キャンセルの可能性も残ります。日程を変えたら割引が外れるのか、キャンセル料は割引後の料金で計算するのかを決めて示します。キャンセル料は、区分ごとの「平均的な損害」を超える部分が無効になります(消費者契約法第9条第1項第1号)。
- 締切を示す: Web などで予約を受けるなら、申込みの期間に定めがあるときは、その旨と内容を広告に表示します(特定商取引法第11条)。
直前割は、直前まで空いている日を埋めるための割引です。空いたままなら限界利益はゼロなので、割引の後も限界利益(1 回ごとの清掃・受け渡しの費用も引いた残り)がプラスなら、その予約の分だけ利益は増えます。ただし、毎回のように直前に安くすると、お客様は予約を遅らせるようになり、早く埋まっていた日まで割引が必要になります。直前割は、決まった期間の常設の値下げにせず、空きが出たときに、お知らせを受け取ることに同意したお客様などに絞って案内するほうが効果を測りやすくなります。
クーポン: 配る相手と条件を決める
クーポンは、「SUMMER-2027」のようなコードを入れると割り引かれる仕組みです。誰にでも見える割引と違い、配った相手だけに使ってもらえるので、効果を測りやすいのが利点です。作る前に、次の項目を決めます。
| 項目 | 決めておくこと |
|---|---|
| 対象 | どの車・どの期間・何泊以上の予約に使えるか |
| 割引の形 | 定額(〇円引き)か、率(〇% 引き)か。上限の金額 |
| 期間 | いつからいつまでの予約・利用に使えるか |
| 回数 | 1 人 1 回か、何人まで使えるか |
| 併用 | 連泊割・早期予約割と一緒に使えるか |
| 配る先 | 前に利用したお客様・地域の観光施設・紹介 など |
クーポンの条件は、配るときの案内と予約の画面の両方に書きます。条件を小さく書いて、実際には多くの日に使えないのに「全日使える」ように見える表示は、次の節の不当表示のおそれがあります。
口コミを書いてくれたお客様に次回のクーポンを渡す方法は、Google の口コミには使えません。景品表示法との関係は下の「よくある質問」、口コミの集め方はキャンピングカーレンタル事業の集客方法【完全ガイド】で扱っています。
表示の注意: 景品表示法の 3 つの決まり
割引を示すときにかかる景品表示法の決まりは、主に次の 3 つです。
割引前の価格(二重価格)
「通常 25,000円 → 20,000円」のように割引前の価格と並べるなら、その価格は最近相当期間にわたって販売されていた価格でなければなりません。消費者庁の価格表示のガイドラインは、セールを始める時点から遡る 8 週間のうち、その価格で販売していた期間が過半を占めることなどを目安にしています。細かい条件と、季節の料金を比べる価格に使うときの注意は平日・休日・繁忙期の料金設定方法で説明しています。
会員の価格を示すときも注意が要ります。誰でもすぐ会員になれて、会員でない価格で借りる人がほとんどいないのに、会員でない価格を比べる価格として示すのは、不当表示のおそれがあります。
割引率・割引額の示し方
同じガイドラインは、次のような割引率・割引額の表示を、不当表示のおそれがある例に挙げています。
- 一部の車や日だけが対象なのに、それを明示せずに「全車 5 割引」のように示す
- 表示する価格をいったん引き上げてから、割引率を示す
- いちばん大きな割引率だけを大きく強調する(「最大 50% OFF」の対象がごく一部など)
- 根拠の無い、任意に決めた価格を基準にして割引率を示す
料金を実際より著しく有利に見せる表示(有利誤認、第5条第2号)は禁止です。違反したときの課徴金・罰金はキャンピングカーレンタル料金の決め方で説明しています。割引後の料金も、課税事業者は税込の総額で表示します(消費税法第63条)。
値引と景品の線引き
割引は、原則として景品規制の対象になりません。消費者庁の運用基準は、「〇回利用で次回〇円割引」のような、取引の通念に照らして妥当な基準での対価の減額を、値引として景品類に当たらないとしています。ただし、次の場合は値引に当たらず、景品規制の対象になりえます。
- 抽選で当たった人だけを割り引くなど、懸賞による場合
- 割り戻したお金の使い道を限る場合
- 割引と景品のどちらかを選ばせる場合
割引ではなく、物や体験を付ける場合の上限は次のとおりです(消費者庁「景品規制の概要」)。
| 種類 | 取引の価額 | 景品類の最高額 |
|---|---|---|
| 総付景品(全員に付ける) | 1,000円未満 | 200円 |
| 総付景品(全員に付ける) | 1,000円以上 | 取引の価額の 5 分の 1 |
| 一般懸賞(抽選など) | 5,000円未満 | 取引の価額の 20 倍 |
| 一般懸賞(抽選など) | 5,000円以上 | 10万円 |
一般懸賞では、1 件あたりの最高額のほかに、景品類の総額を、その懸賞に係る売上予定総額の 2% 以内にする決まりもあります。抽選のキャンペーンを考えるときは、消費者庁の資料で条件を確認するか、専門家に相談してください。
割引と料金表の届出
国土交通省の 2023 年 6 月 21 日の事務連絡では、届け出た基本料金より安くする割引は、届け出なくてよいとされています。連泊割・早期予約割・クーポンで基本料金を下回るのは、この割引に当たります。いっぽう、割引を付けるために基本料金そのものを上げる場合は、料金表の変更として運輸支局への届出が要ります。届出の形はレンタカー事業の貸渡約款と料金表の作り方にまとめています。
割引を設計する手順
- 空きが出やすい日・期間を、予約と問い合わせの記録から書き出す。
- 割引の目的(空きを埋める・長く借りてもらう・早く埋める・また来てもらう)を 1 つ決める。
- 割引の種類・条件・対象の期間・締切を決める。繁忙期は対象から外すか、率を下げる。
- 割引後の 1 日の限界利益と、同じ利益を残すのに要る日数の増え方を計算する。空いていた日を埋める割引なら限界利益が残るか、ふだんの料金として続ける割引なら平均の料金が採算の目安を下回らないかを確認する。
- 割引前の価格を示すなら、販売の実績が 8 週間のうち過半などの目安を満たすか確認する。満たさないなら、割引後の料金と条件だけを示す。
- 予約の画面・料金表・案内の文に、条件・期間・併用の可否を同じ内容で書く。
- 使われた件数・埋まった日・割引の総額を月ごとに記録し、効かない割引を止める。
camperGo でできること
camperGo の Proプランで Web 予約を受ける店舗は、店舗の管理画面の「車両の料金・季節」で、泊数に応じた連泊割とクーポンを入れられます。クーポンは、お客様が予約の画面で入れるコード(英数字とハイフン、3〜30 文字)です。予約のお客様は顧客台帳に入り、タグ(リピーターなど)で区分できます。お知らせの配信を使うと、お知らせに同意したお客様にだけ、空きの案内や季節のクーポンをメールで送れます。配信停止のリンクが付き、送ったあとの予約・売上・クーポンの利用まで追えます。入れ方は車両の料金と季節、Proプランの内容はProプラン、費用は料金プランをご覧ください。
よくある質問
連泊割は何%にすればよいですか?
キャンピングカーのレンタルで一般的な割引率を示す公的な資料はありません。清掃・リネン・受け渡しなど 1 回ごとにかかる費用が、連泊でどれだけ減るかを計算し、その範囲で決めるのが考え方の目安です。繁忙期は割引しなくても埋まりやすいので、平日や閑散期に限ると利益を削りにくくなります。
抽選で割引クーポンが当たるキャンペーンはできますか?
抽選で当たる割引は値引に当たらず、懸賞として景品規制の対象になりえます。一般懸賞の景品類の最高額は、取引の価額が 5,000円未満なら 20 倍、5,000円以上なら 10万円です。景品類の総額も、懸賞に係る売上予定総額の 2% 以内にします。実施の前に消費者庁の資料で確認するか、専門家に相談してください。
割引を始めるとき、運輸支局への届出は要りますか?
2023 年の国の事務連絡では、届け出た基本料金より安くする割引は届け出なくてよいとされています。割引のために基本料金そのものを変えるときは、料金表の変更として遅滞なく届け出ます。扱いは管轄の運輸支局に確認してください。
口コミを書いてくれたお客様にクーポンを渡してもよいですか?
景品表示法では、投稿の内容に一切関わらなければ直ちにステマに当たらない場合があります。しかし Google は、口コミの見返りとして割引や無料の提供をすることを規約で禁止しています。Google の口コミのお願いは、見返り無しで全員に同じようにするのが安全です。
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根拠
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- 禁止および制限されているコンテンツ(Google マップのユーザー投稿コンテンツ ポリシー) — 口コミの見返りの割引・無料提供の禁止(確認 2026-10-21)
- 特定商取引に関する法律(e-Gov 法令検索) — 第11条(申込みの期間の定めの表示)(確認 2026-10-21)
- 消費者契約法(e-Gov 法令検索) — 第9条第1項第1号(平均的な損害を超えるキャンセル料)(確認 2026-10-21)
- レンタカーの貸渡料金の届出について(国土交通省 事務連絡 令和5年6月21日) — 基本料金を下回る割引は届出不要(確認 2026-10-21)
- 「総額表示」の義務付け(国税庁 タックスアンサー No.6902) — 税込の総額での表示(確認 2026-10-21)
この記事は一般的な情報です。法令・保険・税の扱いは変わることがあり、地域や個別の事情によっても異なります。手続きの前に、管轄の運輸支局・税務署・保険会社・専門家にご確認ください。

